筐体に、レバーやハンドル、ボタン、液晶画面とたくさんのパーツが組み込まれている遊技機。それらの構造やレイアウトの設計を行うことが、私たち機構設計の役割です。筐体のデザインはまず、企画チームが決めたコンセプトに沿ってデザイナーが大まかなイメージを作り上げます。その後、モデラーや機構設計チームが製品として成立するよう、細かな設計を行うのが基本的な流れです。もちろん企画の段階から参加して、機構設計としての意見を出すことも珍しくありません。ただデザイン的に優れているだけでなく、操作性や耐久性、量産時の組み立てやすさ、撤去する際の分解性なども考慮しなければならないため、機構設計にはあらゆる視点を持ってプロジェクトと向き合う姿勢が求められます。
ぱちんこやスロットなどの遊技機は、お客様がお金を払って遊ぶものであるため、ホール様も動作不良にはとても敏感です。もし導入されたあとに機械的な不良が見つかってしまうと遊技されるお客様にもホール様にも大きな迷惑がかかってしまうため、機構設計の責任は重大です。設計時には何度もシュミレーションを行い、試作機を作り、耐久テストを行い、問題点を見つけて修正するという作業を徹底的に行っています。
また我々設計者には、「いかに生産コストを下げて量産できるようにするか」という使命もあります。どのような部品が調達しやすいか、量産に向いているか、生産性を確認しながら企画を実現させることも大切な仕事です。実は私は入社1年目、自分のミスから損失を出してしまったという経験があります。その時は、コスト面はもちろん、プロジェクトに関わる多くの人に迷惑をかけてしまいました。以来、徹底的に責任感を持ったモノづくりという信念をもって取り組んでいます。
一番のやりがいはやはり、自らが手がけたものが世の中に出た瞬間を見ることです。初めて企画から携わった機種が最近リリースされたのですが、ホールにずらっと並んでいる光景を見た時は感慨深いものがありました。実際に自分でもプレーしてみたのですが「ここ、苦労したなぁ」「この部分がこだわりなんだよなぁ」と、打ちながら色々な思い出が蘇ってきました。また、どれだけテストを繰り返し、自信を持って送り出したとしても、市場に出てみなければ分からないこともあります。導入初日は、毎回ドキドキしながらお客様の遊技を見守ることになりますね。1台の機種をリリースするまでは長い月日と労力がかかりますが、お客様が楽しそうに遊技されている様子を見ると「さらに面白い機種を作ってやろう!」という想いが込み上げてきます。
まだまだ技術者としては半人前ですので、設計の経験をさらに積んでプロジェクトを牽引していけるような人材、いや人財になりたいと思います。先輩たちを見ていると、プロジェクト全体を見渡し、一歩も二歩も先のことを考えた設計をされているのがよく分かります。私も早くそのレベルに達したいのですが、まだまだ経験不足。目の前の実務と真摯に向き合うことはもちろん、過去の台の図面を見て、先輩たちが何をどのように考えていたのかを学ぶよう心がけています。
大都技研はゼロから台を生み出すことが得意な会社です。コンセプトやキャラクター、仕様など、自分たちが本当に遊びたいと思えるような台を手がけられるのは、技術者としても、一人のぱちんこ・スロットファンとしても幸せなことだと感じています。一つひとつの作業に徹底的にこだわり、歴史に残るような台を生み出していきたいと思っています。